オンライン会議に参加する際、自席や自宅からひとりで参加する時はヘッドセットを使用すれば良いですが、会議室やミーティングルームから複数人で参加する場合は「マイクスピーカー」を利用する機会が多いと思います。マイクスピーカーの性能も様々で、10人程度会議室に集合して参加するオンライン会議であれば、マイクが増設(カスケード)できるタイプを利用することをお勧めしますが、2~3人集まった少人数の場合、マイクが増設できるような大袈裟なものではなく、コンパクトかつ高性能なマイクスピーカーを利用したいところです。ですが、このコンパクトなマイクスピーカーは各メーカーから様々なタイプのものが発売されていて、何をチョイスすれば良いのか悩んでしまうのが現状です。そこで今回はコンパクトでありながら高性能、少人数で使えるマイクスピーカー「Beyerdynamic」社の【PHONUM】という製品をご紹介したいと思います。実際に利用してみた使用感をインプレしていますので、ご参考にしてください。
まずBeyerdynamic社についてですが「ベイヤーダイナミック」と読みます。ドイツのメーカーで、映画用のスピーカー製造からスタートした会社になります。マイクスピーカー「PHONUM」について、どんな特徴なのか・・・ですが、Beyerdynamic社のYouTubeに「PHONUM」の基本説明動画がりますので、こちらを見ていただきましょう。
動画をご覧頂いたとおり、大きな特徴は【ボタンひとつで切り替え可能な3つのマイク集音モード】になります。この機能は「PHONUM」と同等の他メーカーには無い機能だと思います。改めますと
●GECKO FOLLOWモード
発言者(話者)の音声を追尾して、発言者の声をよりクリアに集音する機能です。ですので、発言者はマイクスピーカーの置き位置を気にする事はなく「PHONUM」の方で集音加減を調整してくれます。
●GECKO FIXモード
音の指向性(集音範囲)をピンポイントに設定することが可能です。自分の周りの声や音が気になる環境からオンライン会議に参加する場合はFIXモードをONにするだけで、周りの音は集音せず発言する自分の声だけを集音してくれます。このモードを利用する時、オンライン会議はひとりで参加する際にご利用いただくことをお勧めします。
●GECKO 360°モード
こちらのモードは「PHONUM」と同等製品と同じ一般的な利用モードだと思いますが「PHONUM」の周り360°の集音性を持ったモードとなります。メーカーによると1~6人までの小規模会議室に最適なマイクスピーカーになります。
この3つが他製品とは違う「PHONUM」の大きな特徴となるでしょう。
それでは「PHONUM」をインプレしていきたいと思います。「PHONUM」の性能、フォルム、価格帯など同等製品と比較しながらインプレします。その相手とは、こちらもコンパクトかつ高性能なヤマハの「YVC-200」で比較してみたいと思います。まずはスペックから。
PHONUM | YVC-200 | |
---|---|---|
寸法 | 136(W)×136(D)×63(H)mm | 140 (W) x 140(D)x 43 (H) mm |
重量 | 450g | 280g |
内蔵マイク | ビームフォーミングアレイ×3個 | 無指向性マイク×1個 |
集音周波数帯域 | 60Hz~12,000Hz | 150Hz~16,000Hz |
再生周波数帯域 | 100Hz~14,000Hz | 200Hz~16,000Hz |
音量 | 75dB 1m | 88dB 0.5m |
外部インターフェイス | USB Type-C | USB 2.0 Full Speed(Micro-B) NFC(近距離無線通信) ヘッドセット端子 (ステレオOUT/モノラルIN) |
Bluetooth | 〇 | 〇 |
充電時間 | 3時間 | 4~6時間 |
バッテリー稼働時間 | 12時間 | 10時間 |
付属品 | 専用セミハードケース USBケーブル (1m) | キャリーケース USBケーブル(1m) |
ご覧のとおり、スペック的にはほぼ同じ内容ですが【内蔵マイク】の性能が全く異なります。
次に集音能力について検証してみました。動画を撮影して違いをお伝えしたかったのですが・・・、実は集音範囲に関してはさほど違いがありませんでした。ですが「PHONUM」の特長でもある
●GECKO FOLLOWモード
●GECKO FIXモード
この2つのモードに関しては決定的にYVC-200とは違う集音性を発揮してくれました。
●GECKO FOLLOWモードでは、発表者の声をしっかり認識して、発表者の方向を集中的に集音している動作がオンライン会議で通信中の相手側で、しっかり確認することができました。
●GECKO FIXモードでは「PHONUM」の周りに3人ほど囲んで座り、3人が同時に同じぐらいの音量で発言しても、FIXされた方向に座っている人の音声だけを、しっかり集音できることが確認できました。
次は音声出力についてです。相手の音声がどれだけ綺麗に聞こえるか、の検証をおこないました。こちらも動画でお伝えしたかったのですが、逆に分かりにくいので表にしてみました。
表の写真に注目頂きたいのですが、YVC-200はスピーカー(マイクも)天面にあり、上に向かって音声が出ます。それに対して「PHONUM」はマイクは天面、スピーカーは下面に装備されており音声は下に向かって出力されます。という事は机に向かって音声が出力されるので、音量は小さく聞こえる印象ですが音声の広がり感と、重厚感のある比較的重たい音声が出力されている印象を受けました。「PHONUM」はYVC-200よりも個体の重量があるのでしっかりした音声が出力できているという事も関係していると感じました。また短時間でのオンライン会議では、どちらも快適に音声が聞けますが、長時間のオンライン会議となるとYVC-200では、軽い印象の音声が原因で少し耳や体が疲れてくる印象を感じました。同じようなスペックを持った製品でも、比較してみると違いを充分感じ取ることができたと思います。
如何でしたでしょうか?
価格に関してYVC-200は【希望小売価格:¥30,000(税抜)】、「PHONUM」はオープン価格で【¥40,000~¥45,000前後】で購入可能となります。ご興味ございましたら、ぜひVTVジャパンへお問い合わせ願います。
「PHONUM」製品に関しての詳しい内容は、株式会社オーディオブレインズさんのホームページをご確認願います。