ビジネスにおけるWeb会議機材の最適化ガイド

ワンポイントアドバイスノウハウ
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Web会議ユーザーの多くは、会議室からWeb会議に参加する際にPC内蔵のカメラやマイク・スピーカーだけではスペック不足だと感じています。Web会議は一人で利用することを前提として設計されているため、グループでのWeb会議では外付けのデバイスによる映像・音声の拡張が必須となり、Web会議の成功には適切な機材の選定が不可欠です。

そこでWeb会議をビジネスで快適に利用するための、機材選定のポイントをご紹介します。

Web会議の機材選びの基本

会議の規模や目的に合わせてWeb会議の機材を選ぶことで会議の質は大きく向上します。せっかく機材を導入しても、自社の環境や用途にあっていないと効果が得られないこともあるので、どのような機材が会議室に適しているかをよく見極めて選択することが重要です。

Web会議の機材選びの基本

会議室でWeb会議を行うときに必要な機材の選定ポイント

一般的にWeb会議では映像・音声のやり取りを行うことから「マイク」「スピーカー」「カメラ」といった機材が必要になります。
他にも、マイクやスピーカーなどの外付け機材とPCの接続が簡単にできて配線をシンプルにする「オンライン会議ハブ」や、会議室環境にあわせた音声設定が可能な「オーディオプロセッサー」など、Web会議の運用や品質を向上させる機材もあります。

まずはスモールスタートで導入したい場合は、映像よりも音声が悪いとコミュニケーションが成り立たないことから、音声機材の選定から着手することをおすすめします。

Web会議中の音声品質を確保: マイクとスピーカーの選び方

Web会議を行う際は、会議室環境や用途に合ったマイクやスピーカーを選ぶことで、機材が持っているパフォーマンスを十分に発揮することができます。逆に環境や用途に合っていない機材を使用すると、集音が十分にできないため発言者の声が聞き取れないなど、会議の質が下がってしまいます。特にマイクは種類によってそれぞれ特徴があります。最適な音声機材を選択して快適な会議環境を構築しましょう。

マイクの種類とその特徴

会議室で利用する主なマイクの種類とその特徴について解説していきます。

バウンダリーマイク

Web会議で広く導入されているマイクです。ほとんどが無指向性マイクで、集音範囲内であれば、話者はマイクの位置を特に気にする必要はありません。そのため会議参加者それぞれの席から活発に意見を出し合う会議などに向いています。
テーブルの上に置いて使用するため、集音範囲内の発言者以外の話し声や、紙をめくる音など余計な音も拾ってしまう点がデメリットです。

バウンダリーマイク

ハンドマイク

教室やセミナールームによく導入されるマイクです。集音範囲が狭い指向性マイクが話者の声をクリアに集音するので、講義や講演会、セミナーでの利用に向いています。固定されていないので、移動しながら使用できる点がメリットです。話者が手に持ち利用する特性上、会議用マイクとしては複数人数での利用には不向きです。

ハンドマイク

グースネックマイク

話者1人1人の声をピンポイントに集音します。テーブルの上に置いて利用し、話者はマイクを持つ必要がありません。音声品質にも確実性が求められる役員会議などの重要会議に適しています。固定されたレイアウトの会議室向きなので、レイアウト変更が頻繁にある会議室には不向きです。また会議参加人数(席数)分のマイクを用意する必要があるためコストがかかります。

グースネックマイク

シーリングマイク

最近注目を集めているマイクの1つです。天井据え付けなのでテーブルを広く使え、ケーブルレスで視覚的にもすっきりとした印象の会議室構築が可能です。集音範囲が広いため、さまざまな規模の会議室での利用が可能です。ただし、設置時に集音範囲を細かく設定した場合、会議レイアウトが大きく変わると都度集音範囲の設定をし直す必要があります。

シーリングマイク

マイクスピーカー(スピーカーフォン)

スピーカーがセットになったマイクです。マイクとスピーカーが一体となったモデルや分離型などがあります。1台でマイクとスピーカーの両機能を手軽に利用できるため、Web会議の音声拡張によく利用されます。バウンダリーマイクと同様にテーブルの上にマイクスピーカーを設置するため、メリット・デメリットも似ています。

マイクスピーカー

会議室でのWeb会議に最適なマイクシステムやマイクスピーカーについては以下をご参照ください。実際の会議室を見て最適なマイクのご提案も行っておりますのでお気軽にご相談ください。

スピーカーの種類とその特徴

スピーカーが内蔵された「マイクスピーカー(スピーカーフォン)」や「サウンドバー」、カメラ・マイク・スピーカーが一体となった「ビデオバー」などのスピーカー機能が搭載されている周辺機器を利用する場合は別途スピーカーを用意する必要はありません。

マイクやカメラにスピーカーがついていない場合は別途スピーカーが必要になります。会議室で利用する主なスピーカーの種類とその特徴について解説していきます。

サーフェスマウントスピーカー

天井や壁に取り付けるタイプの一般的な箱型のスピーカーです。音を届けたい方向に応じて、設置位置や角度を調整することができます。小~中規模の会議室のメインのスピーカーとして利用されるほか、大規模会議室やホールなどのサブスピーカーとしても利用できます。

サーフェスマウントスピーカー

シーリングスピーカー

天井に埋め込むタイプのスピーカーです。シーリングマイク同様、スペースを取らず視覚的にもすっきりとした印象の会議室構築が可能です。1台の出力がそこまで大きくないことから複数台を連結して使用します。またサーフェスマウントスピーカーと同様にサブスピーカーとしても使用されます。
取り付けには天井裏にスペースが必要である、工事が必須であることから、事前に設置が可能かの確認が必要です。

シーリングスピーカー

パワードスピーカー

パワードスピーカーとは、アンプを内蔵しているスピーカーです。アンプを内蔵しているため別途アンプを用意する必要がなく、比較的安価なものもあることから手軽に導入することができます。
コンパクトながら音質も良く、小規模会議室向きです。反面、外付けアンプを利用した場合に比べて音質のカスタマイズ性などの点で劣ってしまう可能性がある、複数台のスピーカー連結ができないなどがデメリットといえます。

パワードスピーカー

ラインアレイスピーカー

音源となるスピーカーユニットを縦に一直線に積み重ねて配列したスピーカーです。音が水平に円筒状に広がりまっすぐに音が出ていくのが特徴です。このため床や天井に音があたって跳ね返る反射音は少なくなり、反響・残響が抑えられ明瞭な音声を届けることができます。また、距離による音の減衰が少なく(点音源と比べて半分)少ないエネルギーで遠くまで音が聞こえるようになりハウリングも起こりにくくなります。

ラインアレイスピーカー(線音源)

テレビモニターの内蔵スピーカーを利用した場合、マイクがスピーカーから出力された音を集音した際に音響システム側で不要な音として処理できずエコーなどを起こしてしまうため、Web会議のスピーカーは専用のものを用意することをおすすめします。


マイクやスピーカーなどの音響設備を構築したい、既存の音響設備をWeb会議にも利用できるようにしたいなどのご要望は弊社にご相談ください。会議室の音響設備のインテグレーションについては下記もご参照ください。

参加者の表情を伝える:Webカメラの選び方

カメラは会議室内の参加者が全員映ること、相手に表情がよく見えることが大切です。Webカメラの選定ポイントは、会議室の規模に合った視野角とズームの種類にあります。

視野角の広さと被写体とカメラの距離のバランス

Web会議のカメラを選択するときの基準の1つに「視野角(画角)」があります。視野角とは、カメラで映し出される映像の範囲を角度で表したものです。会議室などで利用される会議用カメラのほとんどが視野角70°台であるのに対し、Webカメラは視野角120°~150°のものが多くみられます。
視野角が狭いカメラ映像は歪みは少ないが映し出す映像の範囲は狭い、視野角が広いカメラ映像は歪みがでるが広範囲を映し出すという特性があります。
この特性を活かし、例えば会議室が狭くてカメラと参加者の位置が近い場合は視野角の広いカメラを選ぶことでより広い範囲を映し出すことができます。逆に広い会議室でカメラと参加者の位置が遠い場合に視野角の広いカメラを使用すると左右に不要なスペースが映りこむため、狭い画角のカメラの方が良いこともあります。設置する部屋の環境から最適な視野角のカメラを選択しましょう。

カメラの視野角の違い

光学ズームとデジタルズームの違いとは

Web会議のカメラ選定ポイントの2つ目は「ズームの種類」です。一般的にズームには「光学ズーム」と「デジタルズーム」の2つのズーム機能があります。

光学ズームは都度レンズを動かして撮影するため拡大しても映像が粗くならず、きれいに映し出してくれます。反面、ズーム率と比例してレンズのサイズや価格は上がります。
デジタルズームはレンズを動かさず撮影し、映像の一部をコンピューター処理で引き延ばして拡大するため、映像は粗くなります。カメラやレンズがコンパクト且つ低価格で購入できるところがメリットです。

光学ズームとデジタルズームの違い:ズーム

光学ズームとデジタルズームは組み合わせることでさらに倍率が高まります。光学12倍、デジタル4倍カメラの場合、48倍(光学ズームで12倍した映像を4倍に引き延ばした状態)まで拡大できます。
「光学ズーム」と「デジタルズーム」ではパン(左右)・チルト(上下)の方法も変わります。光学ズームは上下左右に向きを変えたカメラが映す映像を拡大するのに対し、デジタルズームは最初に映した映像を元に、この映像の中でズームした時に表示されていない範囲の上下左右のみを映します。

光学ズームとデジタルズームの違い:パンチルトズーム

カメラの種類とその特徴

会議室で利用する主なカメラの種類とその特徴について解説していきます。

PTZカメラ

PTZ(パン・チルト・ズーム)機能を備えたカメラです。一般的にPTZカメラの視野角は70°前後で光学ズームに対応するものが多いことから比較的広い会議室で利用されます。

PTZカメラ

Webカメラ

主にPCなどと接続して映像を配信する小型カメラを指します。パーソナルユースから会議室でのグループ会議用までさまざまなモデルがあります。高視野角でデジタルズームに対応しているものが多く、小規模の会議室などでの利用が向いています。PTZと比べて比較的安価でテレビモニターの上に簡単に設置できます。

Webカメラ

バー型カメラ

マイクやスピーカーなどと一体になったバー型のカメラです。オールインワンタイプなので配線がシンプルです。高視野角な製品が多く、小~中規模の会議室に適しています。

バー型カメラ

会議室でのWeb会議に最適なカメラについては以下をご参照ください。会議室のレイアウトや形状に適したカメラのご提案も行っておりますのでお気軽にご相談ください。

Web会議対応の会議室にあると便利な機材

Web会議の基本機材だけでなく、さらに快適な会議を実現するための機材も存在します。ここではWeb会議の基本機材とPCの接続を簡単にし配線トラブルを防ぐ「オンライン会議ハブ」や、細かな音声設定が可能な「オーディオプロセッサー」、吸音効果で反響音をコントロールする「吸音ボード」をご紹介します。

周辺機材とPCの配線を効率化するオンライン会議ハブ

USBカメラ、マイク、スピーカー、テレビモニターなどのWeb会議に利用する機材の配線を集約するソリューションです。周辺機材を接続したオンライン会議ハブとPCを接続すれば、機材のセットアップが完了します。ケーブル1本で複数のWeb会議用の周辺機材と接続できるので、結線ミスによるトラブルの予防も期待できます。

また、ワイヤレスコンファレンスシステムにもオンライン会議ハブと同様に周辺機材とPCの配線を集約する機能をもつ製品ががあります。ワイヤレスコンファレンスシステムは名称の通り無線で周辺機材と接続できるほか、資料共有も無線で行えるので、Web会議とあわせて利用することで会議の進行がよりスムーズになります。

オンライン会議ハブ

オンライン会議ハブ:Avaya One Cable Connect Hub(OCC Hub)

Avaya One Cable Connect Hub

カメラ、マイク、モニターを1つにまとめUSBケーブル1本でPCと接続

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ワイヤレスコンファレンスシステム

ワイヤレスコンファレンスシステム:Barco ClickShare CXシリーズ

Barco ClickShare CXシリーズ

PCに専用のUSB機器を接続するだけで映像/音声拡張機器へ簡単に接続

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ワイヤレスコラボレーションシステム

ワイヤレスコラボレーションシステム:WolfVision Cynap Pure Pro

WolfVision Cynap Pure Pro

PCとCynap Pure Proをワイヤレス接続するだけで周辺機材と接続

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音声品質を最適化するオーディオプロセッサー

オーディオプロセッサーは音源より出力された信号に補正するプロセスを加え、アンプスピーカーから理想の音響を出音させる機器です。Web会議で選択したマイクやスピーカーなどと組み合わせ、会議室のレイアウトや環境にあわせた細かな音の調整が可能です。

オーディオプロセッサー

オーディオプロセッサー:Shure IntelliMix P300

Shure IntelliMix P300

クリアな音声での会議環境を創る高機能Dante対応オーディオプロセッサー

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オーディオプロセッシングソフトウェア

オーディオ・プロセッシング・ソフトウェア:Shure IntelliMix Room

Shure IntelliMix Room

優れたノイズキャンセラー機能「AI Denoiser」を搭載したオーディオ・プロセッシング・ソフトウェア

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 吸音効果で反響音をコントロールする吸音ボード

反響が大きい会議室や残響が長い会議室など、会議室の環境による音の不具合に対応するのが吸音ボードです。吸音ボードを会議室の壁面などに設置することで、音が響いて会話がしづらい空間の響きを抑えます。会議室の景観を損ねない多様な色やデザインが提供されており、ガラス面への取り付けに配慮したものもあります。工事不要で簡単に設置できる製品が各社よりラインナップされています。

この他にも便利な機能を持つ機材はいろいろあります。今回は会議室からの参加にフォーカスした便利機材をご紹介しましたが、Web会議対応の会議設備に関する問題・課題をお持ちの際はお気軽にご相談ください。

1人で参加する場合はヘッドセットなどの利用もおすすめです。ヘッドセットの選び方については以下をご参照ください。

Web会議機材選びの要点と今後の展望

本記事では、Web会議機材の選び方について詳しく解説しました。Web会議を利用した業務スタイルが浸透している今、ユーザーにWeb会議でも会議に集中できる環境を提供することが、最終的には生産性を向上させることにつながっていきます。Web会議の機材は「人気があるから」「高価だから」必ずしも良いというわけではなく、利用する会議室の環境や用途などに適した機材を選ぶことで、快適なWeb会議を行うための環境が整うでしょう。

会議室用のWeb会議機材の導入・選定にお悩みの際は、ぜひ弊社にご相談ください。現地調査などを行い、御社が抱える問題・課題を洗い出し、どんな機材が適しているのかを見極めたソリューション提案をいたします。

【導入事例】「Web会議がしやすい会議室」をどう実現したのか 日本特殊陶業株式会社様

今回対象となる大小さまざまな全25室の会議室に、それぞれの仕様や用途に合わせて、最適な製品を導入する必要がありました。会議室に備え付けの既存のシステムは、社員が配線やスイッチを触ってうっかり設定変更してしまい、接続トラブルに発展することがあったことから、社員が設定変更の必要を感じない機器を構築することでトラブルを防ぐ工夫を凝らしました。

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PC+AVインテグレーション オンライン会議活用事例集

よくある質問

  • 会議室でのWeb会議用機材にはどのようなものがありますか。
  • 会議室でWeb会議を行う際に必要な機材は「マイク」「スピーカー」「カメラ」などです。その他テレビモニターと機材を一括でつなぐオンライン会議ハブや、反響・残響を取り除く吸音ボードなどの便利機材などもあります。機材の選択ポイントなどはビジネスにおけるWeb会議機材の最適化ガイドをご覧ください。
  • Web会議の機材を提案してもらうことは可能ですか。
  • 可能です。現場へ伺い会議室の状況を確認させていただき、会議室の環境やご要望に沿ったご提案を行っております。まずはご相談ください。お問い合わせはこちらから