TIP [読み方:てぃーあいぴー]
Telepresence Interoperability Protocolの頭字語である。複数の映像、音声ストリームおよび複数のカメラ、スクリーンなど入出力機器を用いるテレプレゼンスシステムの相互接続性向上を狙って、Cisco社が作成・公開した仕様とその具体例(プロファイルと呼ばれ、1スクリーンと3スクリーンのプロファイルがある)が2010年にTIPとして公開されている。
この文書配布はIMTCに移管され、さらにIMTCの運営がMEF (Metro Ethernet Forum)に移管されたため、TIP仕様はMEFサイト(http://www.mef.net/imtc-public-resources)から入手できる。
TIPは次の点に技術的特徴がある。
- RTP/RTCPを活用/拡張して、TIPを実現する。
- TIPのサポート表示はRTCPチャネルで交換される。RTCPのTIP関連メッセージはACKを要する。
- TIPのための制御はRTCP APPパケットによる。private application nameとしてeXtended Control for Telepresence Systemsを意味する"xcts"を用いる。
- RTCPによる制御項目:多重化制御、ネットワーク遅延測定、メディアのフロー制御、映像リフレッシュ、メディア符号化オプションの選択、暗号化のためのパラメタ共有、メディアの送信要求、ACK、など。
- TIPでは複数映像あるいは音声RTPストリームは、一つのUDP上に多重される。最初のCSRC (Contributing Source)値がstream identifierとして使われる。
- 映像はH.264、従ってRTP payload numberは一つ。各ストリームの特性はインバンドのPPS*1/ SPS*2で識別される。
*1 PPS (Picture Parameter Set) -- ピクチャ全体に適用される符号化パラメタの集まり
*2 SPS (Sequence Parameter Set) -- 複数ピクチャからなるシーケンス全体に適 用される符号化パラメタの集まり
- 音声の場合は、複数ストリームに異なる符号化が適用可能。複数のRTP payload numberが一つのUDP内に入る。
- 異なるRTPストリームは独自のsequence numberとtimestampを有する。
- 複数メディアの位置を“Position”として定義。具体的には、中央、左、右、プレゼンチャネル、補助音声、既存システムとの相互接続用SD解像度映像の中央、左、右、全Positionの合成音声、など。