MCU入門 第3回
テレビ会議を自社IP網を越えて利用するための拡張について
– 2.電話や3G携帯のテレビ電話と接続する
- ISDNテレビ会議端末と接続
- 電話や3G携帯のテレビ電話と接続する
- TCP接続でNAT / ファイアウォール越え
- H.323、H.460.18/19標準を利用する
- 複数NICを搭載し、ネットワークレベルで越える
3Gケータイのテレビ電話(H.324M)と接続する
日本では NTT docomoの「FOMA」、ソフトバンクモバイルの「SoftBank 3G」が利用しているW-CDMA方式の携帯電話網、KDDI auの「CDMA 1X、CDMA 1X WIN」が利用しているCDMA2000 1x方式の携帯電話網を3Gネットワークといいます。
この3Gネットワーク上で動作するテレビ電話の規格を、H.324Mといいます。NTT docomoやSoftBank MobileやKDDI auで利用できるテレビ電話は、この規格に準拠しています。名前から想像がつく方もいらっしゃるとは思いますが、H.324Mは、専用端末で利用するH.323に比べ機械のパワーが劣る携帯電話でも利用しやすくするように、少し軽くした標準です。
H.324MとH.323を接続するためには、俗に言う「3Gゲートウェイ」を利用する必要があります。
3Gゲートウェイの回線の出入り口は、片方がIP (Ethernet) で、もう片方がISDNです。
3G携帯電話からH.323端末に接続する手順は、
- 3G携帯電話から、3GゲートウェイのISDNの番号に電話をかける
- 接続できたら、3GゲートウェイがH.324MをH.323に翻訳して、H.323端末に接続要求信号を送る
- H.323端末が、接続要求に応えて、3G携帯電話とH.323端末がつながる
逆に、H.323端末から、3G携帯電話に接続する手順は、
- H.323端末から、3Gゲートウェイを経由して3G携帯電話にかけるための番号を入力
- 3GゲートウェイがISDN経由で3G携帯電話に電話をかける
- 3G携帯端末が応答すれば、H.323端末とつながる
電話(ケータイ、ビジネスホン)と接続する
テレビ電話ではなく音声だけで通信をする電話を、ちょっと聞きなれない言葉ですが、以下では「音声電話」と記述します。
このときも、H.320ゲートウェイが活躍します。
IPでのテレビ会議が一般的でなかった10年以上昔は、H.320に準拠したISDNテレビ会議端末が主流でした。音声電話はISDN番号にかければつながります。ISDNには既存アナログ電話網との相互接続が組み込まれていたからです。このため、ISDN(H.320)テレビ会議と、音声電話の組み合わせは、かなりポピュラーな混在方法でした。
H.320ゲートウェイの回線の出入り口は、片方がIP (Ethernet) で、もう片方がISDNです。
音声電話からH.323端末に接続する手順は、
- 音声電話から、H.320ゲートウェイのISDNの番号に電話をかける
- 接続できたら、H.320ゲートウェイが音声通話をH.323に翻訳して、H.323端末に接続要求信号を送る
- H.323端末が接続要求に応えて、音声電話とH.323端末がつながる
逆に、H.323端末から、音声電話に接続する手順は
- H.323端末から、H.320ゲートウェイを経由して音声電話にかけるための番号を入力
- H.320ゲートウェイがISDN経由で音声電話に電話をかける
- 音声電話が応答すれば、H.323端末とつながる