MCU入門 第9回
NAT/FW トラバーサル
- 2. NAT/FW トラバーサルの仕組み “FWとは”
- NAT/FW トラバーサルの必要性
- NAT/FW トラバーサルの仕組み “FWとは”
- NAT/FW トラバーサルの仕組み “NATとは”
- テレビ会議通信の仕組み
FW(ファイアウォール:Firewall)とは
FWと略されることが多いですが、もともとはFirewall、日本語では「防火壁」といいます。 火事が起きたときに、他所からの延焼を防ぐための壁のことです。 転じてICTの世界では、許可されてない人からの不法侵入を防ぐもの、という意味でFWを使います。
FWの外から内へ
基本的には、情報が出入りする方向で考えます。 外側から内側に入ることは、基本的に許可していません。FWが関知していない人々は、他人=敵として、用心するためです。
これによって、秘匿情報などを外部からアクセスできないようにします。 ただしサーバーのように、外部からアクセスしてもらうことが前提である設備もあります。 その中でも、たとえばWebサービスは外部には公開したいが、Telnetサービスは外部には公開したくない、という場合があります。 このとき、ポートという概念が役立ちます。
ポートは、クライアントPCがサーバーPCに接続するときに、サーバーの「何の」プログラムサービスを利用したいのかを指定するための数字です。 サーバーは複数のサービスを実行しているのが普通です。そのサービスのうち、どれをクライアントに提供すればよいのか、ということをサーバーに伝えないと必要な情報をもらえません。 接続依頼をするときにどのサービスの情報が欲しいかを予め指定すれば、すばやく必要な情報をもらうことができます。
ポートは、クライアント側からサーバー側に、何のサービスの情報がほしいかを伝えるための数字です。数字だと人間には分かりにくいですが、コンピュータには分かりやすいのです。手順をなるべく省略できるようにするため、広く利用されているサービスは、数字が指定されています。 これを “Well-Known port numbers” と呼び、Internet Assigned Numbers Authority(IANA,アイアナ)が管理をしています。
たとえば「TCPポート80番」に接続すればWebサービスが、TCPポート23番に接続すればTelnetサービスが提供されます。 Firewallでは、この機能を利用してセキュリティを高めます。
とあるサーバーで、Webサービスは提供したいがTelnetサービスは提供したくない、という場合があったとします。 このときFirewallでは、外部からの接続依頼に対しTCP80番ポートは接続を許可し、TCP23番ポートは拒否するという設定にします。
FWの内から外へ
内側から外側に出ることは、基本的に許可しています。 FWが守っているところの人々は、身元がしっかりしているので通信を妨害しない、というポリシーです。 このため、内側からWebやメールなどを読みにいくなど、情報を取得することができます。
FWの内から外に出て再び「内へ」
情報を受け取るときは、どうしても外部から内部への流れになります。これだと、外から入れないから情報を取得できないのではないでしょうか? いえいえ、一度外に出るときに「このポート番号の門から出て行きました」という手形を持って出ますので、同じポート番号の門に戻れば入れてくれます。
どうやっているかというと、サーバーにクライアントがサービスを依頼するときは、宛先である「サーバーのIPアドレスと、ポート番号」そして返信宛先である「クライアントのIPアドレスと、ポート番号」を、必ず添えます。 これを、接続先IPアドレス(デスティネーションIP )、接続先ポート番号(デスティネーションポート)、発信元IPアドレス(ソースIP)、発信元ポート番号(ソースポート)と言います。