H.350 [読み方:えいち・さんごーまる]
ITU-T勧告の一つで、ディレクトリ・サービスを主題とし初版は2003年8月に発行された。ディレクトリ(Directory)とは、文字通りはアルファベット順に並べられた住所録や電話帳を意味する。コンピュータの世界では、コンピュータ・ネットワーク上のさまざまなリソースの所在や属性に関する情報を記憶し、提供するシステムのことをいう。ディレクトリ・サービスはデータベースにアクセスし必要な情報を引き出すサービスである。
H.350は枠組みを記述した標準で、個々のシステムに関わる仕様は次のようにシリーズで発行されている。
- H.350.1 H.323システム用ディレクトリ・サービス
- H.350.2 H.235(セキュリティ)システム用ディレクトリ・サービス
- H.350.3 H.320システム用ディレクトリ・サービス
- H.350.4 SIPシステム用ディレクトリ・サービス
- H.350.5 非標準プロトコル用ディレクトリ・サービス
- H.350.6 呼の自動転送と選択着信のディレクトリ・サービス
- H.350.7 XMPP用ディレクトリ・サービス
- H.351 マルチメディア端末とシステムのディレクトリ用セマンティックwebインタフェース
ディレクトリ・サービスの利用により、端末パラメータの自動設定、利用者情報と端末情報の対応付け、ホワイトページ(電話帳)、通信相手のクリックダイヤル、信頼できるデータベースに基づく利用者認証などが可能になる。また、企業や大学など大規模な組織では、職員の情報、通信機器の情報など、多様な情報が既にデータベース化されているので、これらとH.350を連携させる仕組みが用意されている。
ディレクトリ・サービスにはLDAP (Lightweight Directory Access Protocol、RFC 4510)あるいはX.500 (ITU-T勧告、ISO/IEC標準ISO/IEC 9594-1)のプロトコルでアクセスする。