H.460.23/H.460.24[読み方:えいち・よんろくぜろ・てん・にいさん・えいち・よんろくぜろ・てん・にいよん]
H.323システムのNAT/ファイアウォール越えソリューションH.460.19では、メディア信号はNAT/ファイアウォールの外側に置かれたメディアサーバを介して送受信される。システムの規模が大きくなると、このメディア中継処理は重くなるので、条件が整えばメディアサーバを介することなく端末間で直接送受信を行う目的のソリューションがH.460.23/24である。2009年12月に制定された標準で、NAT/ファイアウォール越えにH.460.17あるいはH.460.18のいずれかとH.460.19を用いることが前提になっている。
NATの目的は内部アドレスと外部アドレスの対応関係を定めることにあるが、そのための標準がないことから、いくつか異なる方法が実装されている。IETF標準のSTUN (Simple Traversal of UDP through NATs、RFC 3489)に従うサーバは、それに接続することで端末がどのタイプのNATに所属しているかを判定することができる。H.460.23は、STUNサーバの助けを借りて、二つの端末がそれぞれ属するNAT/ファイアウォールのタイプ情報を集め、端末間でメディアを直接送受信できるか否かを決める手順を定めている。またH.460.24は、H.460.23の判定情報に基づき、実際にメディアを直接相手端末に送るための手順を定めている。
なお、H.460.23/H.460.24ではSTUNの参照RFCとして、classical STUNとも呼ばれるRFC 3489(2003年3月発行)としていることに注意を要する。STUNの最新版はRFC 5389(2008年10月)で、RFC 3489からプロトコルと手順が変更された。