HEVC-SCC [読み方:へいちいーう゛ぃーしー・えすしーしー]
SCC [読み方:えすしーしー]
High Efficiency Video Coding - Screen Content Codingを意味する。
H.265/HEVC標準の拡張符号化ツールで、テレビ会議におけるH.239 PC画面伝送を効率よく行うためなど、コンピュータで作られたテキスト、グラフィックスを含む動画コンテンツの高能率符号化を目的とする。
通常のカメラで撮像した映像と異なり、コンピュータで作られた映像では、情報源に雑音が含まれない、広範囲に一様な画面が続く、同じパターンが繰り返される、高度に鮮やかな色や限られた数の色が使われる、画面間で数値が全く同じブロックや領域が現れる、などの特徴がある。これらを積極的に利用し、符号化効率を高めるためのツールが新たに2016年12月版の標準(H.265/HEVC第4版)に追加された。この追加は第3版のテキスト該当部分を修正する形で行われた。
具体的な符号化ツールとして、第1に、画面内で現在のブロックと同じブロックがないかを探すIBC (Intra-Block Copy)がある。ブロック間でマッチングを取る処理は従来の動き補償と同一で、ただ参照するのが同一の画面内ブロックである点が異なる。第2はパレットモード (Palette Mode)で、コンピュータ生成のコンテンツではブロック内の画素の色が限られている場合が多いことから各画素の色を直接表すかわりに、代表的な色(パレットに用意した色)のインデックス番号で表現することにより効率化を図る。第3に、コンピュータ生成のコンテンツはR, G, Bで表現されるが、3成分間に相関があり、これをそのまま符号化するより、輝度信号と色信号(Y, Co, Cgと呼ばれる)に変換して符号化した方が有利な場合があり、適応的に切り替える。第4に、コンピュータ生成コンテンツでは、動きは画素単位に限られることから、動きベクトル(画面間あるいは画面内)は整数単位でよく、小数部分を省くことで効率を高めることができる。
H.265/HEVCでは、どの符号化ツールセットを使うかはプロファイル(Profile)として規定される。上記のScreen Content Codingツールを用いる拡張プロファイルにはScreen-Extended Mainなど7個が定義されている。これらはH.265 Annex Aに追加された。
新たなツールを用いたHEVC-SCC映像符号化では、H.265/HEVCの第2版(RExt, Range Extensionと呼ばれる)と比べ、コンピュータ生成コンテンツに対しては2倍の効率向上が得られ、カメラ生成コンテンツに対して悪影響を及ぼすことはない。