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MCUの接続性について
2.接続範囲を広げる方法

MCU入門 第2回

MCU入門 第2回

MCUの接続性について– 2.接続範囲を広げる方法

2010年4月掲載

裏側の仕組みが何であれ、接続したいときに、接続したい人と接続できることが大事です。 テレビ会議端末が接続をするときは、それが専用機であれソフトウェアであれ、一定の手順があります。 細かな違いはありますが、どのタイプの接続でも、以下のような順番で接続をします。

  • A-1:あなたに繋ぎたいのですが、いいですか?
  • B-1:いいですよ。私もあなたに繋いでもいいですか?
  • A-2:いいですよ。

しかし①のように話しかけたとしても、相手が話す言葉(プロトコル)がわからなければ、接続を許可できません。 英語しかわからない人に日本語で話しかけても、会話ができないのと同じです。 このため、同じIP上で提供されるテレビ会議であっても、H.323 / SIP / Web独自のプロトコルだと接続することができません。 このとき、上記のような制限があった場合なんとかして突破する仕組みが必要です。

異なったプロトコルを接続する方法には、大きく分けて3つあります。

  1. 「外国語」を話す人に対して「通訳」を間にいれる方法
  2. 「バイリンガル」なMCUを使う方法
  3. PCにソフトウェアをインストールするだけですませて、問題自体をなくす方法

1.「外国語」を話す人に対して「通訳」を間にいれる方法

ゲートウェイ(Gateway)といわれる機器があります。 この機器は、通信プロトコルの「翻訳」をして、接続を可能にする「通訳」の役目をします。

IP(H.323/SIP)の場合とIP/ISDN(H.323/H.320)の場合

H.323対応MCUは、同じ通信プロトコル=H.323で接続することが前提
通信プロトコルの翻訳・通訳の役目を果たすGatewayを使えば、異通信プロトコルの端末同士の接続が可能

IP同士なら例えば「H.323⇔SIP」、IP同士ですらないISDNとIPの間であっても「H.320⇔H.323」などの「通訳」たるゲートウェイがいれば、利用できる言語(プロトコル)が違っていても、通信することができるのです。

デメリットは2つあります。
1つめは、ゲートウェイがけっこう大型のサーバー機器になってしまいがちなところです。
特にいまはIP全盛ですので、IP以外を利用するプロトコルのものと接続しようとすると、量産効果が期待できず、機器の値段も高くなる傾向があります。

2つめは、日本語と英語の会話に通訳をいれて話すことを思い浮かべていただくとわかりやすいのですが、「通訳」という処理をするために、処理遅延が発生することです。
また、機能としてお互いの標準が完全互換というわけではないので、翻訳によって、一部機能が利用できないということもあり得ます。
例えば、一昔前は、H.323ではH.239というPC映像共有機能が利用できましたが、SIPでは搭載されていなかったため、ゲートウェイを介した接続を行うときは、H.239の機能は利用できませんでした。

2.「バイリンガル」なMCUを使う方法

H.323とSIPは、どちらも通信プロトコルとしてはIPを利用します。 MCUが最初から「バイリンガル」で、H.323もSIPもどちらも話せればどうでしょう? 途中にゲートウェイをいれなくても、多地点接続ができます。

IP(H.323/SIP)対応の場合

ただしこれには多少制限があって、ISDNを利用するH.320や電話からの通信は、MCUが物理的に持っている端子の問題で利用できない場合があります。この場合は、やはり途中にゲートウェイを挟む必要があります。

3.PCにソフトウェアをインストールするだけですませて、問題自体をなくす方法

これは、コロンブスの卵的な発想です。
テレビ会議をするには専用端末を使うしか方法がない、といった時代のときは、「1.「外国語」を話す人に対して「通訳」を間にいれる方法」 や、「2.「バイリンガル」なMCUを使う方法」 のように、どうにかして接続する仕組みがないと、相互接続ができませんでした。 利用する端末を、専用端末だけに限らず、ビジネスでも利用しているPCを端末として利用してみるという発想になると、見え方が変わってきます。

テレビ会議端末は使わずPCのみを使ってテレビ会議を行う

テレビ会議端末を使わず、会議室にソフトウェアをインストールしたPCを持ち込み、このPCを使ってテレビ会議を行います。 相手が、独自プロトコルだろうとなんだろうと、そのPCに、サーバーと接続できる仕組みさえ提供してもらえば、通信が可能になるのです。 これが、PCを利用する会議の一番よい点と言えます。

Web会議サーバーとPCでテレビ会議

デメリットもあります。 会議室に設置しているテレビ会議端末のように利用しようと思うと、カメラやマイク、スピーカーの設定など、実は事前準備をしておかないと、うまく動かないことがあります。 相手がテレビ会議端末で、それと接続しないといけないという前提があれば、いくら自分のところはPCを使えばいいといっても、対処不能な場合があります。

テレビ会議端末とPCを同時に接続する

  1. テレビ会議端末は直接MCUと接続し、PCはゲートウェイを介して接続する:Avaya Scopia Desktop Server
  2. 会議室からはテレビ会議端末を使っていつもと同じ使い心地で、出張先などからはPCを使ってテレビ会議に参加する、という、「テレビ会議端末が主、PCが従」の考え方です。
    ※実際はPCとMCUのゲートウェイだけではなく、多彩な機能があるのですが、これは後ほどご紹介します。

  3. PCは直接Web会議サーバーに接続し、テレビ会議端末はゲートウェイを介して接続する
  4. PC会議は、テレビ会議端末と接続をするのはあまり一般的ではないのですが、Web会議 / PC会議とテレビ会議端末の標準(H.323/SIP)との接続ゲートウェイサービスを提供している一部サービスベンダーがあります。

テレビ会議端末はMCUと接続、
PCはゲートウェイを介して接続 Avaya Scopia Desktop Server
PCはWeb会議サーバーに接続、
テレビ会議端末はゲートウェイを介して接続
Avaya Scopia Desktop Serverでテレビ会議とPC混在会議
Web会議サーバーとGatewayでテレビ会議とPC混在会議

※上図掲載製品は、本記事公開当時のものです。