MCU入門 第2回
MCUの接続性について– 4.技術コラム:テレビ会議のパフォーマンス UDP型、TCP型
- テレビ会議内容を2次利用する
- 接続範囲を広げる方法
- 相互接続性の向上について
- 技術コラム:テレビ会議のパフォーマンス UDP型、TCP型
TCPとUDPの違いについて
技術的にいうと、テレビ会議には、UDP型とTCP型の2通りあります。 これを利用者視点で考えると、以下の2つのように分類できます。
- ハイパフォーマンス型=UDP型 (低遅延高解像度 : テレビ会議端末の多く : H.323 / SIP)
- ユビキタス型=TCP型 (低帯域低PCスペック : Web会議の多く : 独自)
UDP型 | TCP型 | |
---|---|---|
音質・画質 | 高い | 低い |
解像度 | 高い | 低い |
使用帯域 | 広い | 狭い |
必要端末性能 | 高い | 低い |
FW透過性 | △ | ◯ |
この違いは、映像や音声の伝送を、UDP / IPで行うか、TCP / IPで行うかの違いで生じます。
TCP / IPは「手間がかかるが正確」な伝送方法で、UDP / IPは「正確とは限らないが、手間がかからない」伝送方法です。
この特徴がゆえに、上記の表のような違いがでてきます。
TCP / IP
Web会議でよく用いられるTCP / IPは、データが相手に届いたかどうかをいちいち確認します。このため、ネットワークに問題があったなどの理由でデータの一部が欠損したとき、相手が送信元にデータの再送依頼をします。輻輳制御も行うので、ネットワークの混雑具合によって送信のデータを増やしたり減らしたりします。このため一度表示されれば画面のエラーやノイズが少ない代わりに、会議としてのリアルタイム性が損なわれることがあるプロトコルです。しかし、NAT配下の端末とも接続が行いやすいなど、接続性についての優位性が高くなります。
UDP / IP
H.323 / SIPで用いられるUDP / IPは、データが相手に届いたかどうかを確認せずに送りっぱなしにします。テレビ会議のように大量のデータを相手に送りつけるのに最適です。ネットワークに問題があったなどの理由でデータの一部が欠損したとき、画面の一部にエラーやノイズが出ることがありますが、会議としてのリアルタイム性を優先するようにできているプロトコルです。
TCP / UDP混在型
各々の特長を活かすために、音質画質優先区間はUDP型、接続性優先区間はTCP型で行うタイプです。途中に、UDP⇔TCPの変換が入るので、論理的には処理遅延が生じ、システムが複雑になります。