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MCUを最大限に利用するためのサーバーソフトウェアスイート
2. サーバーソフトウェアスイートの構成:ゲートキーパー

MCU入門 第4回

MCU入門 第4回

MCUを最大限に利用するためのサーバーソフトウェアスイート
– 2. サーバーソフトウェアスイートの構成:ゲートキーパー

2010年9月掲載
MCU入門 第4回 MCUを最大限に利用するためのサーバーソフトウェアスイート 目次
 

ゲートキーパーは直訳すると「門番」です。この呼び名は、アメリカ映画 『ゴーストバスターズ』の登場人物ゲートキーパーに由来しています。
役目は3つ。「登録」、「門番」と「接続 / 切断」です。

  • 自分の村の中にいるひと(=登録済端末・MCU)ということを確認し、接続仕事を請け負うための「登録」機能
  • 自分の村の中にいるひとへの接続を許可するか決める「門番」機能
  • 自分の村の中にいるひとと、別の人をつなぐ役目の「接続」(水先案内人)機能

接続は、まず「登録」があり、接続要求がでたら「門番」機能で誰何(すいか)され、つないでもよいと判断すれば「接続」が実行される、という順序で処理されます。

ゲートキーパー登録・門番機能
ゲートキーパー接続機能

登録機能について

「登録」は、端末が「自分は通信OKの状態になったので、接続したいときに案内してね」という登録希望を、 ゲートキーパーに行います。
同様に、MCUが持つ会議プリフィックスも、ゲートキーパーに登録されます。
会議プリフィックスとは、「この数字を先頭に書いて通信要求をしたら、こういう仕様のバーチャル会議室をMCU内に開く」という決め事です。

例えば、「84」は「HD720p、30fpsで、端末あたりの接続帯域1Mbps。H.239での通信を許可」という決め事をしているとします。ホテルに例えると、「84階のオーシャンビュー、ツインベッドの部屋」という決め事です。
このとき、「8426」という接続要求を端末が行った場合、先頭の「84」をみて、「 HD720p、30fpsで、端末あたりの接続帯域1Mbps。H.239での通信を許可」という会議室の作成を、ゲートキーパーがMCUに依頼します。こうすると、接続するたびにいちいち会議室の仕様をゼロから作る必要がないので省力化できます。

ちなみに「8426」の「26」は、会議自体を区別するためのもので、「84」の仕様の「会議室」を複数作ることができます。会議室番号をつけるのだと思ってください。
先ほどのホテルの例で言うと、「84階のオーシャンビュー、ツインベッドの部屋の26号室」という区別をします。区別をしないと、8階はすべてひとつの部屋のようになってしまって、本来入ってはいけない人が会議室でかちあってしまうなど、いろいろ不都合が起きてしまいます。


門番機能について

正式には「受付可否制御 (Admission Control)」と言います。
登録が済んだ端末・MCUに、別の端末から接続要求があったとします。 このとき、接続してもいいかどうかを決める機能がこの「門番」機能です。

「門番」機能には、2つのパターンがあります。

1つは、セキュリティーポリシーとして。
例えば、「Aさんに接続するのはBさんしか許さない」というポリシーを決め事として設定することができます。

もう1つは、技術的・運用的なポリシーとして。
例えば、「接続の帯域が逼迫していて、これ以上接続すると今接続している会議の品質が落ちてしまう」という場合に、新たな接続要求を拒否する、というポリシー設定をすることができます。
上記2つの機能を設定することで、会議の品質を高く保つことができます。


接続(水先案内人)機能について

「門番」機能で設定したポリシーを守っていることが確認できたら、接続要求にのっとって「接続」を行います。
接続するときは「アドレス解決」を行って、「帯域制御」をして、細かい接続手順に移ります。
「アドレス解決」は、ゲートキーパーで利用する「E.164エイリアス」「MCUの会議プリフィックス」をIPアドレスなどに翻訳して、接続する相手の端末や、MCUのバーチャル会議室に連れて行くことです。

相手がすでに別の端末と接続していたり、会議室が満室だったりすると、「話中(busy)」として接続を拒否されます。これは、相手端末に拒否されたのであって、ゲートキーパーの(勝手な)判断ではありません。この意味で、ゲートキーパーはあくまで「水先案内人」の役割を行うもので、接続を保証するものではないのです。
相手から接続許可がでたら、どの帯域で接続するのかをゲートキーパーで設定します。これが「帯域制御」です。
企業内ネットワークの管理者からよく聞く要望のひとつが「テレビ会議で勝手にたくさん帯域を使わないでほしい」というものです。
企業内ネットワークは、テレビ会議だけに使用しているわけではありません。メールやWebやデータベースの通信パケットが飛びかっています。

このときに、空気を読まずに無駄にたくさんの帯域をテレビ会議で使うと困ってしまいます。
「帯域制御」を行うことで、端末が1Mbpsで接続しようとしても、384kbpsで接続するように強制できます。


時間軸について

ゲートキーパーは、「今、登録されている端末の接続を助ける」という仕事に特化しています。
このため、ゲートキーパーから読み取れる情報は以下の3つです。

  1. 今、登録されている端末の情報
  2. 今、行われている接続の情報
  3. 過去に行われた接続の履歴

このため、登録されていない端末の情報や履歴の獲得、未来の会議予約はできません。