RESOLUTION Vol.03
相談から運用までの道のりから見えてきた「ウィズコロナ時代のオンライン会議室」最適解のカタチ
相談から運用までの道のりから見えてきた
「ウィズコロナ時代のオンライン会議室」最適解のカタチ
さまざまなものがオンライン化している現在、「会議室」においても同様の変化が起こりました。従来、会議室といえば同じ空間で出席者同士が対面し会話する場所でしたが、オンライン会議の浸透により、オンラインを経由した会議室同士でのコミュニケーションが活性化しました。
しかし、オンライン対応を想定して設計された会議室は数として少なく、ツールで調整することがほとんどです。では、どうすればオンラインにも適した会議室ができるでしょうか?音問題の解決をスタート地点に新会議環境を構築した弊社お客様の事例から、ひとつの最適解のカタチをご紹介します。
テレビ会議の音の悪さ、ツールを変えたら改善するのか?
「テレビ会議の音が悪いので、Microsoft Teamsに移行しようか迷っている」
昨年、某医薬品会社様からこのようなご相談を受けました。同社では以前から社内のテレビ会議システムの音が悪いという声が挙がっていましたが、原因がわからず悩んでいました。そんな中、リモートワーク時の連絡用にとMicrosoft Teamsを利用したところ、既存のテレビ会議システムより音も使い勝手も良いと評判で、会議室でもMicrosoft Teamsで会議をできるようにしてほしいという要望が出ました。そこでテレビ会議担当者様は、社内のオンライン会議のメインツールをテレビ会議システムからMicrosoft Teamsへ移行するかを検討しているということでした。
相談を受けた弊社の担当営業は、このままMicrosoft Teamsに移行しても、音が改善する確信が持てなかったため、先に原因を解明することにしました。お客様環境での接続テスト(既存システム経由・Microsoft Teams経由)で状況を確認するとともに、会議室ごとに構造や機器の配置などを徹底的に調査した結果、会議室の広さに対してマイクの数が足りていないこと、また、使用しているマイクと会議室の相性が悪く、反響や残響を拾ってしまい、音が悪くなっていることがわかりました。
同社のユーザーがMicrosoft Teamsの方が音が良いと感じたのは、Microsoft Teamsを会議室以外の環境(リモートワーク)で利用していたからでした。会議室の音響設備を改善しないことには、テレビ会議システムからMicrosoft Teamsに移行しても音は悪いままだということが判明しました。
オンライン会議の音が悪いと感じるほとんどの場合、以下の原因が複雑に絡み合っている可能性が高く、一つ一つ原因を見極めていく必要があります
今後の働き方に合うオンライン会議の運用を考える
調査結果を聞いた同社は、テレビ会議システムをそのまま使用し続けるか、当初の予定通りMicrosoft Teamsに移行するか悩んでいました。音の悪さを解消するには、テレビ会議システムから別のツールに移行するしかないと思っていたのに、会議室の音響設備を改善すればそのままテレビ会議システムを使える可能性が出てきたからです。
とはいえコロナ禍以降、同社ではMicrosoft Teamsの利用が増えており、今後もリモートワークを含め多様な働き方を推進していくことを考えると、やはりMicrosoft Teamsへ移行する方が良いのではないかという考えがありました。しかし、すぐには移行に踏み切れない理由がありました。
「テレビ会議をなくしてしまうと、ノートPCを持たない社員はオンライン会議ができなくなるのではないか?」
「そもそも、Microsoft Teamsを社内のオンライン会議のメインツールとして運用するイメージが持てない」
テレビ会議担当者様が抱いていた疑問や不安を解消するために、弊社担当営業は弊社のネットワーク、Microsoft Teams、会議室の音響構築に精通するメンバーとチームを組み、Microsoft Teamsへの移行に関して相談できる場を設けました。
同社が今後したい運用をヒアリングしながら、Microsoft Teamsをオンライン会議のメインツールとして使うには、何が必要でどうすればよいのか説明し、疑問や不安を解消していきました。
そして、将来的にはテレビ会議システムは廃止して、Microsoft Teamsに一本化するために段階を分けて移行していくことが決まりました。第一段階では、会議室のAV(オーディオビジュアル)機器を整備し、ノートPCを持ち込むだけで簡単にMicrosoft Teams会議を行えるようにすることと、今あるテレビ会議システムからもMicrosoft Teams会議に参加できるように「Microsoft CVI(クラウドビデオ相互運用性)」(※)を導入することが決まりました。
Microsoft CVIとは、テレビ会議システム(H.323/SIP)からMicrosoft Teams会議に接続するためのゲートウェイサービスを指します。Microsoft社が認定したパートナーがサービスを提供しており、接続したいテレビ会議システムや環境によって対応できるサービスが異なります。
Microsoft CVIについては、こちらの記事もご参照ください。
28年の経験知を活かしたオンライン会議に最適な機器選定
どんなオンライン会議ツールを使っても、明瞭な音声でやりとりができる会議室音響を構築するには、テレビ会議・Web会議の音響特性を理解した上で音響機器を定する必要があります。28年間オンライン会議に携わってきた弊社がその知見を活かし、同社の要望を叶える機器構成を複数パターン準備し、実際に機器を持ち込みデモンストレーションを行いました。運用・予算・品質などさまざまな観点から各製品を評価し、同社に最適な製品を一緒に見つけていきました。
- オンライン会議で最も重要な「音声」が明瞭に相手に届くこと
- 少ない操作でシンプルな運用ができること
- ケーブルや機器の準備、移動が少ないこと
- マイクを意識することなく自然にディスカッションを行えること
- オンライン会議を利用しない会議でも準備・操作がシンプルであること
一日がかりのデモンストレーションの末、選ばれたのは
同社の会議室環境で音の悪さを引き起こしていた、
①会議室の広さに対してマイクの数が不足していたこと
②会議室とマイクの相性が悪く、マイクが反響や残響を拾ってしまうこと
これらの原因を解消し、同社の会議室に最適な機材を見つけるために、機材の組み合わせや、マイクの数・配置などさまざまなパターンを試しました。デモンストレーション当日は管理を担当する総務チームの方々にも参加いただき、管理者視点の意見も取り入れながら進めました。予算や音声品質などの要望と照らし合わせながら一日かけて選択肢を絞っていきました。
検討の結果、小会議室から大会議室までさまざまな広さやレイアウトに合わせて柔軟に集音範囲を設定することができ、テレビ会議・Microsoft Teamsどちらと組み合わせても同社の求める音声品質に最も近づけることができたバー型のアレイマイクを中心とした音響機器ソリューションが導入されることになりました。
選ばれた理由は性能だけでなく運用とのマッチング
アレイマイクそのものの性能の良さはもちろんのこと、同社の要望である「シンプルな運用ができ、操作が少ないこと」「ケーブルや機器の準備、移動が少ないこと」が叶う提案だったことが導入の大きな決め手となりました。
シンプルな運用、ケーブル・準備レスな構成にすることで、ユーザーの利便性を高めると同時に、管理者もトラブル対応などの業務が軽減することが期待されます。また、バー型のアレイマイクは壁や天井、ディスプレイモニターの上下などに設置でき、会議室をすっきり見せることができるうえに、コロナ禍では非接触で利用できるメリットから、多くの企業でも導入するケースが見られました。
今回はさらに、一括電源タップでディスプレイモニター、カメラ、マイク、スピーカーなど会議室内の全てのAV機器の電源が入るように整備し、USBケーブルをノートPCに繋げるだけで簡単にMicrosoft TeamsなどのWeb会議を行えるようにしました。長くシステムを使っていただくために、ユーザー・管理者どちらの立場でも「使いやすい」工夫がされています。
将来を見据え、どんな用途にも合う会議室を整備する
今回導入いただいたAV機器は、将来どのツールをオンライン会議のメインシステムとして選んでも快適に利用することができます。今後は時機を見てテレビ会議システムは減らしていき、Microsoft Teamsに一本化したい、という同社の理想に向けての第一歩となりました。
また、会議ツールや機器によって人の動きや会議内容が制限されることなく運用ができるよう配慮しました。社内研修や社内イベント、Web会議を使用しないオフラインの会議など、その会議室で行われるあらゆる会議内容・形態に、マイクやスピーカーを有効活用できる、拡張性の高い会議室が実現しました。
弊社ではAV機器を導入する際には、実際の環境でデモンストレーションを行うことをおすすめしています。
デモンストレーションは複数の選択肢の中から、最適な製品を一緒に見つけていく作業です。しかし、一口に「最適」と言っても、予算、性能、運用、納期など、どの観点での「最適」を優先するかは企業によってさまざまです。「どのような会議室でどのような会議を行うのか」「求める品質はどのくらいなのか」「求める品質に近づけるには何が必要なのか」の認識をしっかりと合わせながら、導入前の不安をなくし、納得した状態で導入いただけるよう全力でサポートいたします。
コロナ禍でコミュニケーション手段が大きく変容したように、時代とともに会議室の在り方や運用方法などが一変してしまう可能性もあります。そうなったとき、私たちは時代の変化に柔軟に対応し、「モノを売って終わり」ではなく一緒に正解を見つけていけるようなパートナーでありたいと思っています。